■ “タカトク TM-Gun” 其の弐 昭和ボーイズガンの代名詞 “TM-07型”について。

“TMガン”と言うより、製品名の”SS-9000″としての方が名が通っている”TM-07型”の世代変貌について。
※以下は全て個人による考察であり、その内容の正確性を何ら保証するものではありません。誤認・記載間違い・訂正加筆などお気付きの点がございましたら、ご指摘願えれば幸いです。

上より
 初代”SS-9000″=”7mmテルテル坊主弾”仕様 鉄製銃身
 2代目”SS Super 9″=”7mmつづみ弾”仕様 アルミ製銃身
 3代目”UX Super 9″=”6mmBB弾”仕様 アルミ製銃身
 ※ストックの色は総じて古いロットの方が濃いが、個体差も大きい。
意匠には殆ど違いが無く、外観からそのモデルを見分けるのは難しい。

“TM-07型”は改修に合わせて2回製品名も変更されたが、しかし改修の内容(下記様)は限定的で、銃身(口径)以外の寸法・意匠・機構的には略同じ物と言って良い。最終のUX型が市場から見られなくなった1990年代初め頃まで同じ姿・同じ機構で製造・販売され続け、またその亜種が現代でも製品として売られている超ロングセラーGun具である。


 
唯一(?)の意匠変更点、刻印の違い。
 
“SS-9000″ 1976年(昭和51年)発売 製造:”マツシロ・”販売:”タカトク”
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凹刻 『 1976 MODEL TM-07 K.K MATSUSHIRO JAPAN & FOREIGN PATENTS PENDING MADE IN JAPAN 』
 
その他の刻印は無し。
 
 
“SS Super 9″ 1983年(昭和58年)改修 製造:”マツシロ・”販売:”タカトク”
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凹刻 “SS-9000″に同上
 
凸刻 『ASGK (日本遊戯銃協同組合 認定印)』が入った。
※”Super シリーズ”は、1984年のタカトク・マツシロ倒産に伴い”UNIX(バンダイ資本)”に販売チャンネルが変わり、製品名も”SS-5・7・9″から”UX-5・7・9″に変更になった。っと言うことは、”UNIX”ブランドの7mmつづみ弾仕様の製品もあるのだろうか?(超レアモノなのか、未だ見たことが無い)。
 
  
“UX Super 9″ 1986年(昭和61年)改修 製造・販売:”マルコシ”
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“UNIX”の倒産^^;)により販売チャンネルが”マルコシ”に再度変わったが、”UNIX”ブランドは引き継がれた。マルコシ委譲に伴い、約10年間変わらなかった刻印が変更された。

凸刻 『 ◎UNIX 1986 MODEL MADE IN JAPAN PATENTS PENDING 』
凹刻から凸刻なったと言うことは、元の金型を削って打ち直したからだろう。社名を入れなかったのは、再々々・・・委譲の事も考慮されてだろうか?。
 
凸刻 『ASGK 』あり。
 
 
改造防止策。
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機構的にも殆ど変更が無かった”TM-07型”だが、改造(ピストン・ピストンスプリング交換)防止策としてボルトの分解を困難にする処置が何度かに渡りとられた。

向かって左側、最初期型のボルトヘッドはネジ止めで、分解できるようになっている。どの時期でかは不明だが、右側のボルトのようにリベット止めになり、ヘッドが簡単に分解できないようになった。公式(?)では、この変更は”Super 9″以降とあるが、”SS-9000″でもリベット止めボルトの付いた個体がある。

パワー規制? リベットはボルトを貫通し、排気口をかなり塞いでいる。

たぶん、ヘッドの変更と同時期にだと思われるが、ボルトハンドルを止めるネジの溝を削られ、これも簡単に外せない様になった。※ “ヘッド=リベット止め・ハンドル=ネジ溝あり” 、またはその逆バージョンのボルトも存在するのでややこしい…。

さらに、”Super 9″後期から”PRO・UX型”は、右側ボルトの様にヘッドがカシメ止めとなり、もう物理的にボルトを破壊しないと分解出来なくなってしまった。しかし、当時はショップブランドから個人モノまでアフターパーツが豊富に出回ってので、この対策はあまり有効だったとは思われ無い。

これらも大まかに世代を見分ける基準であるが、しかし明確な刻印はストックにしかなく、そもそも銃身(口径)以外殆どの部品に互換性があるので、現存している銃は部品またはレシーバーごと入れ替わっている可能性も大いにある。実際、当方が購入した”UX Super 9″には、旧型ネジ止めヘッドのボルトが入っていた。
また、”SS-9000″の最初期型は鉄製銃身で、これも”Super 9″改修時にアルミ製銃身になった・・・はずなのだが、しかしアルミ銃身の”SS-9000″も見受けられるから摩訶不思議。6mm口径の”UX・PRO”は、全てアルミ製銃身である(大昔には、サードパーティ製で真鍮・鉄製から、果てはステン製銃身なんてのもあったらしいが・・・)。
 
 
“TM-07型”亜種。
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“TO-07型”の亜種として、1983年SS化改修と同時に競技用エアーライフル然とした、各部調整可能な大型ストック+マイクロサイトを備えた”SS Super X”が発売されていた(※当方も一時所有していたが、ついつい売ってしまった・・・激しく後悔…)。
1986年に、”TAKATOKU/MATUSHIRO(=TM)”倒産により販売チャンネルが”Marukoshi(UX)”ブランドに変わり、それを機に”TMガン”全機種が6mmBB弾仕様化された。
1987年(昭和62年)には、連射性を求めた”Super 9″のポンプアクション(レピーター)仕様モデル”UX CUSTOM 9″がラインナップされた。
1990年(平成2年)にフルサイズの”Super 9 PRO”が発売されたが、その後”Matsushiro(UNIX)”も倒産し。昭和から続いたボーイズライフルの代名詞であった”TM(SS)-UXガンシリーズ”も、これにて終了となった。
 

 
“UX CUSTOM 9″と”(UX) Super 9 PRO”。
 
 
稀代の迷銃(?) “UX Custom 9″。
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未来的?・・・っと言えば言えなくもないが・・・、
 
いったい誰が何を思ってデザインしたのか?・・・っと首を傾げたくなる、ある意味かなりインパクトのある容をしている。
 
 
この個体はカートレス専用機だが、ライブカート・カートレス併用機もある。
 
この奇異なフォルムとは裏腹に、近代的な競技用エアーライフルのような、とても撃ちやすい(構えやすい)グリップ・ストックである。
しかし、フォアグリップは遠くまた結構重いので、これらのデザインが本来の目的であった”速射性の向上”に貢献しているとは思えない。むしろ、元のボルトアクション(ケースレスなら尚)の方が素早い操作が可能だろう。
 
凸刻 『 ◎UNIX 1987 MODEL MADE IN JAPAN PATENTS PENDING 』
 

 
 
もう”ボーイズガン”とは呼べない…。
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フルサイズライフルとなり、もう”ボーイズガン”とは呼べなくなった。
Φ16mm(“TM-07型”はΦ12mm)のアルミ無垢ロングバレルが重い...。
 
見た目だけなら、”マルゼン APS”や”マルイ VSR”にだって負けないくらいカッコイイ!・・・っと思う。
 
ロングボルトハンドルやトリガーなどは、”SS Super X”の部品を流用しているようだ。
“PRO”は、ボルトに『ASGK(遊戯銃協会認定印)』があり、印のないボルトを組み付けると銃自体が基準外となる・・・っと言う事だろう。
 
まるで実銃用のようなカッチョ良いリアサイトはPRO専用で、これがPROの特徴でもある。チェンバーより先は”TM-07型”とは意匠が違うが、ここは別部品なのでレシーバー自体は”TM-07型”と互換性がある。また、レシーバー他が総金属(たぶんアルミ)製の”METAL Super 9 PRO”や木製ストック仕様など、スペシャルモデルも一時期発売されていたようである。
 
Matsushiro(UNIX)倒産後”PRO”の販権は売られたのか、”SⅡS”から現代風にモディファイされた型が”TSR”ブランドで、また”CROWN”からはクオリティダウン・廉価を計ったまんまそっくりさんが”U10 Junior(Senior)”として、現在も販売されている(※”PROとU10″では、”HONDAとHYUNDAI”ほどの品質差を感じるが)。

 

使用カートリッジ・弾の違い。
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各々左より、
 ”SS-9000″用 通称”テルテル坊主弾”
 ”SS Super-9″用 “つづみ弾”
 ”UX Super-9・Super-9 PRO”用 “6mmBB弾”
3種とも外形寸法は同じ。”SS-9000″用と”SS Super-9″用のカートは同じ7mm口径なれど、内径と弾が入り込む深さに差があり、”つづみ弾”の穴に”テルテル坊主”はユルユルで奥に入り過ぎるし、逆はキツキツで入れれない。また、材質の違いか”SS-9000″時代のカートは脆く、リムが欠けやすい様に思う。”UX Super-9(PRO)”用は口径(6mm)が違うだけでなく、内部にゴム(ウレタン?)製のスリーブが入っている。