60年代中頃に、ナカヤ銃砲・マノック(マノク商事)・増田屋・啓平社陣営 の”BS-Gun”で始まった昭和ボーイズガンのもう一勢といえば、1973年頃登場した”タカトク・マツシロ”の”TMガン”シリーズである。
※本文全て個人による考察であり、その内容の正確性を何ら保証するものではありません。誤認・記載間違い・訂正加筆などお気付きの点がございましたら、ご指摘願えれば幸いです。
“TMガン”の正確な発売時期は不明であるが、シリーズ最初のモデルである”TM-01″のレシーバー上の刻印が”1973″っとなっているので、1973~74年(昭和48~49年)に発売開始と見て間違いないであろう。
ナカヤ銃砲のコルク銃を基にしている”BS-Gun”シリーズが、撃って遊ぶ事を主眼にした”エアーガン(ストライカーガン)”であったのに対し、”TMガン”シリーズは擬似カートを使った装填・排莢っと言った”アクション(射撃のプロセス)”も楽しめる”トイガン”である。
上段:TMガン最初の製品である”TM-01 (ゼロワン)”
下段:”TM-01″の後継機である”SS-5000″
“TM-01型”は、この後も順次仕様変更されながら”SS スーパー5″・”UX スーパー5″っと名を替え1990年頃まで長きに渡り製造・販売されていくのだが、意匠は2代目の”SS-5000″のまま殆ど(全く?)変更されず、外観からは各モデルを見分る事は難しい。
——————————————————————–
TMガンの始祖”TM-01 (ゼロワン)” 1973年頃発売
全長約82cm・重量約750g(空マガジン付)・口径9mm。
ボルトハンドルやトリガー・シアなどの機構部品が一部金属製であるが、その他は銃身まで含め全プラスチック製なのでとても軽く、”BS-Gun”廉価シリーズに近いサイズである。
“TM-01型”は、販売されていた期間がとても長かったことから、現在でもオークション等で良く見かける玩具銃の一つである。
しかしこの最初期型は、シリーズ中では販売されていた期間が短かった(最大でも1973~1976年の3年間)事、一番古いモデルである事、また何より子供の玩具であった事など等から、完品・動体で現存しているのは少ないだろう。
“TM-01型”2代目 “SS-5000” 1976年頃発売。
全長約97cm・重量約1,200g(空マガジン付)・口径7mm。
“SS-5000″の名前は、発売時の定価が\5,000であったからとの事。
名銃(?)”SS-9000″の発売に合わせ、同じブレットを使えるように仕様変更・バージョンアップされた”SS化改修”を受け生まれ変わった。
銃身は金属(鉄製!)の長銃身となり、ストックも先台・後端とも延長されサイズアップ(と言っても、まだまだボーイズガンサイズだが)し、そして”SS-9000″と同じくレシーバーとストックが簡単に分離できるギミックが付加された。
始祖”TM-01″と2代目(以降)”SS-5000″の差異について。
——————————————————————–
小口径化で銃身が細くなり、材質もプラ→金属(鉄)に変更された。銃身基部の意匠が違うので、ストックに互換性は無い。
“TM-01″の銃口部は、13mmもある迫力の大口径!・・・っん?。
じつは銃身の殆どがスリーブで、実質の銃身(9mm)部分は5cm程もなく、弾も3~4m程度しか飛ばない。もともと、”TMガン”は本当にお子様向けの”オモチャの鉄砲”であったのが、結構そのポテンシャルが高かったため、”SS化改修”で”エアーガン”に昇格させたのではないだろうか。
“SS-5000″は勿論7mm径のフルバレルで、それにより射距離も10~15m程と4~5倍も伸びている!・・・良い時代だったんだなぁ…。また、フロントサイトは”SS-9000″と同じ部品である。
レシーバ上面、排莢口辺りの比較。
合わせのネジ部にあった固定リアサイトを廃し、左右調整も可能な立派なタンジェントサイト(元々”TM-99″に付いていたモノ)に置き換えられえた。
ボルト・レシーバー後部周りには、意匠変更は見られ無い。セフティはこの位置でOFF。
“SS-5000″のストックエンドにはパットプレートが付き、これだけでもかなり雰囲気が変わった感じがする。
“TM-01″はネジ2本(もう1本はトリガーガードの後)でストックとレシーバーが結合されている。
“SS-5000″以降の型は、レバー1ヶ所で止められていているので(レシーバー後端はストックに引っ掛けられているだけ)、ワンタッチで分解・結合を行う事が出来る。先台にも飾りが付き、バットプレートと合わせて(少しだけ)高級感が出た・・・かな。
マガジンは共通。両モデルともマガジンに対して機械的なロックなどは無く、レシーバー内のプラスチック爪で引っ掛かっているだけ。
刻印の違い。
——————————————————————–
“TM-01” 凸刻 『 1973 K.K MATSUSHIRO JAPAN & FOREIGN PATENTS PENDING MADE IN JAPAN 』
使用カートリッジ・弾の違い。
——————————————————————–
※”TM-01型”の後継機である”SS-5000・SS Super-5・UX Super-5″は、外観上殆ど違いが無いのだが、使用するカート・弾とも全て異なるので注意が必要である。マガジンは初代01型から全機種共通なので、どのカートもマガジンに入れる事は出来てしまう。しかし、誤って適合外のカートを銃に装填してしまうと、最悪ボルトヘッド・チェンバー部を壊してしまう可能性がある。
各々左より、
”TM-01″用 通称”どんぐり弾”
”SS-5000″用 通称”テルテル坊主弾”
”SS スーパー5″用 “つづみ弾”
”UX スーパー5″用 “6mmBB弾”
※”テルテル坊主弾”も、通常”つづみ弾”と呼称される(BS-Gun用の”つづみ弾”と形状が同じなため)。また各カート・弾は、同時期に販売されていた”TM-99・SS-W7000・SS スーパー7・UX スーパー7″と共通である。